「屁放き爺さん折節のお話」
上海の街は筆者の方が詳しいんだよ・・・・”と言っても主役は向こうに在る事は衆人の認める処であろう。
勿論、前巻に少し紹介した福州路には本屋さんの他にも様々なお店が立ち並ぶ。芸術品としか呼べない高価な値札を付けられ、様々な細工を施された端渓水坑や歙州の龍尾石と呼ばれる硯石の名品をショウウインドウに並べて筆者の物欲を誘惑する硯専門店、蘇州や湖州、杭州等で様々な動物の毛を材料にして作られる唐筆、「黄山松煙」や「鉄齊翁書画宝墨」と金書された高価な唐墨を置く店、安徽省の宣城)や県で漉された画仙紙や竹の繊維を主原料にした福建省産の唐紙等を狭いお店のカウンターの奥に堆く積み上げる紙屋さん等々、「文籍老舗街」とでも名付けたい福州路の街並みである。
文籍以外にも沢山の老舗が福州路には建ち並ぶ。芥川龍之介等日本の文豪が楽しんだと云う京劇が演じられる舞台、「天蟾舞台」という名の劇場も聳え立っている。伝統芸能に興味を持つ筆者は、上海に宿泊する毎に此の劇場の一等席で京劇を鑑賞する事にしている。そう言えば顔見知りに為った切符売りの老娘(小母さん)は「李軍」という男優のファンだと親指を立てて頷き乍ら、二百八十元の一等席の票(入場券)を差し出した。
筆者は多くの場合を、福州路や南京東路から近く、地下鉄等の交通にも便利だという理由でホテル「王宝和大酒店」利用するが、其のホテルから歩いて五分程の処に在る「人民広場」には有名な上海博物館が在る。上海の徒然を見付けては中国古典美術の鑑賞に多くの時間を費やすので在る。
斯くして筆者の上海触れ合い街歩き」は終わるのである。
ー上海の老舗街を彷徨う(巻2)ー
中国触れ合い街歩き(2)
巻一の2
筆者の「上海触れ合い街歩き」には、湖北省に在る某婦人服縫製工場に日本側スタッフとして委託縫製製品の品質管理や縫製指導をして貰っている美麗なパートナーが同道して呉れる。ファッション界に働く此の美女にとっても、彼女が駐在する縫製工場にとっても中国ファッション界の最先端を行く上海南京東路の流行を知る事は重要な工作の一つである。可成り以前に一度、嫌がる彼女を上海に連れて来た事が在ったが其の無理矢理のチャンスが忽ち、彼女を上海贔屓に転換させた様である。湖北生まれで湖北育ち、湖北で活躍中の彼女にとって上海は食わず嫌いの街で在った様である。今では筆者が行く毎に、筆者に同道して上海のメイン遊歩道南京東路の人混みを、百七十センチメートルの背丈に見合うスラリと真っ直ぐに伸びた足と高い位置にあるお尻を振って闊歩する。曰く、"貴志老師を独りで上海の街を彷徨わせるのは心配だから、私が付いて来て上げてるのよ”と。何を言うやら、"自分が来たいだけじゃ無いの。
万里の長城で美女と