前巻に引き続いて鬼遣らいの巻を続ける・・・・・。

  法住寺の本堂前では餅つきが始まった。島原遊郭から花魁太夫様が出張って餅を丸めて御座る。仲々の美形で在る。彼女が丸めた餅の入ったぜんざいを頂く。美味とは言得ないが、「美女太夫の手垢の付いた餅だ」と思うと嬉しくなった。


   節分会 身代わり不動に 胆石の 治癒祈る妻 護摩木も奉納
   護摩焚きの 煙や追儺 鬼遣らひ 古来の俗習 古寺に遺りて
   島原の 花魁太夫の 丸めし餅 古寺の追儺会 ぜんざい接待   


宗達の 鶴を真似て 年送る(浅井三姉妹の父母供養の寺)

  護摩焚きが佳境の処で、杉の葉から立ち上る煙を浴びて法住寺を退出した。隣寺は養源院で在る。ついでに(は失礼で在るが)参拝させて頂く。この寺には俵屋宗達の杉板戸画が老松を描いた襖絵と共に残されている。方丈の天井は伏見城落城の際に武将等が自害して果てた血で塗られた廊下の板が填められ、参拝者を見下ろしている。怨念の籠もった天井板で在るが、元々は信長に滅ぼされた浅井長政(院号は養源院)の菩提を弔う為に長政の長女淀君によって建立されて焼失の後、淀殿の妹お江(崇源院)によって再建された。戦国の栄枯盛衰を今に伝える。戦いの世では「勝者は女性で、滅ぶは男」と云う事か?
   杉戸画の 象獅子麒麟も 襖画も 皆宗達の画 養源院参拝
   三姉妹の 残せし杉戸画は 亡き父母の 供養の牡牝 六頭の珍獣
   戦国の 栄枯盛衰 伝ふ寺 廊下の啼き声 血天井の染み

   
「あ~!京都に棲んだんだ」巻四
(diaryessey2-5)へのリンク
  始めて参拝させて頂いた伏見稲荷大社は商いの神様で、商売繁盛を願う会社や商売人等が多い。さすがに、下山途中には礼拝者が列を為し、中国語や聞き慣れない言葉が氾濫している。さすが、外人の好感度一位と言われる千本鳥居である。
  「早く家を出て好かったなあ」と、12時に帰宅した。改めて我が家の立地条件に満足の稲荷参拝で在った。。


  伏見稲荷大社から帰宅後、小林博士のメールを開く。先日、贈ったちりめん山椒のお礼で在る。彼のお袋様やお姉様が家に常備していたのが筆者が贈った「はれまのちりめん山椒」で在ったとか?お江戸派の奥様も、知っていて喜んでいたとか?
  千枚漬けとスグキや柴漬けの推薦老舗を訊ねる。千枚漬けは「村上重商店」、京奈良漬けは「田中重商店」と返事メールが来た。余り、聴いたことの無い店名で在る。有名な大安は甘過ぎるとは彼のお袋様の生前の話とか??彼のお宅には学生時代、泊めて頂いたり、運転免許を取る際に住所地を寄留させて頂いたり・・・・。包容力のあるお父さんとお母さんで在った。忘られぬ想い出。
  彼のメール文頭は、「ちりめん山椒はやはり、彼女の発案でしたか?」。締めくくり文は「それにしても彼女も凝り性ですね」と在った。実際は凝り性じゃなくテレビ知識で在る。が、まあ其れは言わずにおこう。 
      平成29年2月12日(日、晴)
   贈りたる ちりめん山椒は 母御前の 懐古を旧友に させしの便り
天空の社詣で
遊鵾独飄々
「あ~!京都に移り棲んだんだ・・・」巻三
  養源院と法住寺の道路向いが三十三間堂で在る。両寺に比べると参拝者が多い。着物を着た女性は中国人か?外国人で在ろう。外股歩き?で闊歩すると云う表現が合う着物姿で在る。中国語が飛び交う。二寺参拝の爽やかな、深遠な気分が多少、削がれて現実に引き戻された。でも、「ニーハオさんどす」でも好いか?日本文化が世界に評価されるのは喜ばなければ為らない。しかしもう少し、公衆の面前では静けさを保って欲しいが・・・・。                         平成28年2月3日

    街バスに 騒がしき声 充ち満ちぬ 和装の外人 数多乗り来て
    和文化を 大和撫子は 忘るる乎 和装の外人 京の街行く
ー瓢逸白文の京都はんなり歌日記ー第二編
旧友と再会「宵酔一杯忘冷風」

  我等が母校、京都府立大学近くの照月で小林博士の招待晩餐会。立春を過ぎても寒い夜で在ったが久々の旧友との再会の「一杯一杯復一杯」と李白を、「春宵三献直千金」と杜甫の詩を思い浮かべたが、「早春三献忘冷雨」と気を取り直して「一杯一杯復一杯」。博士は、先日送った確定申告用決算ファイルを甚く、喜んで呉れた。後に聴いた処では、幾らかの還付金が戻ってきたとか。筆者のお粗末な決算ファイルも「役に立ったと言うこっちゃ」と、女房に自慢した。彼に出費させたので「何か?漬け物でも贈って遣ろうかな。ちりめん山椒は如何で在ろうか?お江戸派の奥様は食って呉れるだろうか??」 平成29年2月6日(月、雨)
   久々の 旧友の誘ひ 此の夕ベ 約せし刻の 来たるの晩し
   刻早けれ いと寒き為れ 旧友の待つ 酒楼へいそいそ 家発ちバスに  


  晩酌の酒が切れたので酒屋に行く。ジョニ緑が棚に並んでいるのを発見。酒好きの博士が以前、探していたウイスキーで在る事に気付いたので一本買った。5月の予定している高野山一夜参籠マスター会に「スコットランド産般若湯」として持参して遣ろう。
   参籠の 夜窃かに吞む スコッチの 味や愉しみ 鞄に一瓶

  今年の中国行き(湖北の西施との逢瀬??)は「4月19日(水)~25日(火)の一週間」と決まり、渡航飛行機代28,800円を愛知華友に降り込む。此の年で彼女に逢いに行ける機会が得られる。嬉しい事で在る。身体に気を付けて頼まれ業務を全うせねば・・・。三木先生に中国渡航の為の予備医薬品を貰わなければ。久々の上海が楽しみで在る。          平成29年2月9日(木、雪)
   海隔つ 君に逢はむ 躑躅咲く 四月の渡海 飛機予約せむ
   君に逢う 四月の早ふ 来い心 弾める我の 受話器の声 
「都の辰巳に棲まいして・・・・」
伏見稲荷神社初午祈祷会参拝と奥の社へ登山参拝

  朝早く、伏見大社の初午祈祷会に参拝し、本殿に女房の病気治癒を祈願する。「お稲荷さんに病気平癒は似合わないんじゃないか?」、「まあ、拝んでおけば何か、聴いて下さる遣ろう」。本殿裏の千本鳥居を登る。「千本鳥居否、万本は在るんじゃないか?」。此の千本鳥居は人間界から神様の居られる幽界に通じる出入り口と言われる。密集した朱い鳥居が、祈願者の名を記されて建つ様は壮観で、外国人が好む京の風景の一番に挙げられるとか。古く為った鳥居が毎日、三本建て換えられると言う事でも其の多さが判る。
  千本鳥居を登り切った処で、「此処まで登ったらもう一寸、上まで行くか?行ける処まで・・・」てな調子で更に、登る。俳優西村某の兄が経営する茶店が在ったので休憩、甘茶と善哉をそれぞれ食って登山再開。朝早かった事も在って登山者は日本人ばかりでホッと安堵、「休みながらもう一寸。えらくなったら其処で止めて降りよう」・・・。結局、爺さん婆さんのノロノロ登山は皆さんに迷惑を掛けずに天辺に鎮坐為さる奥の社に鎮座為さる神様に参拝させて頂く事が出来た。達成感も満足で在る。でも下りる路の階段が怖い。「俺は下りの階段が下に吸い込まれそうで怖いんや」。結局、翌日の夜には膨ら脛がポンポンに張って仕舞った。

    千本鳥居は 幽界への扉 爺婆の ノロノロ登山 天社に詣づ