「白文詩集」第二巻

      再会せし君と別れを惜しみて詠みし詩一篇

   渡水渡山再遇君       水を渡り山を渡って君と再び遇ひぬ
   津話津昔一酔間       津々たる昔語りも一酔の間にして
   天已魚肚街灯虚       天は已に白み始めて街の灯も虚しく
   弧客欲去余幽情       弧客去らんと欲す秘かな情ひを余して
            
  {注}、魚肚白:夜明けの白み始める形容句

  夜更けに独り故郷を想って詠みし詩

 有人問余何棲此    人有り余に問う何して此処に棲まふと
 笑而不答斟麦酒    笑いて答えずビールを斟ぐ
 今宵馬路稀人影    今夜も大通りは人影の疎らにして
 孤客独枕思遙家    弧客は独り枕に遙かなる家族を思ふ

「白文詩集」よりアトランダムに6首選びました。詠んで下さいね

    老いて愈々スケベ心は盛んなり

  喜歓飲酒酔不乱    酒は飲むを好むが酔っても乱れず
  欲去吸煙不能禁    煙草を止めんと思うが禁煙も出来ない
  未忘色心已花甲    色心は未だ忘れず。已に還暦を過ぎたが
  六欲愈盛老愈壯    六欲は愈々盛ん。老いて愈々壯健

越海遙郷懐汝情 看雲飛鳥更慕念
彩雲上眺舞天女 応挙双手送吾心
         白文題

       、観音様の後ろ姿を詠む

   観音薄帛使人恋       観音様の薄帛の姿に人々は恋するを覚ゆ
   満臀細腕括躯娘       豊満なお尻に細い腕、括れた胴の娘姿に
   看出神酔直腿脚       真っ直ぐな脚にうっとり見とれていたら
   猥笑背臉驚老生       背に置かるる卑猥な笑顔にびっくり仰天!

表紙「閑叔白文の”孔明夜咄」書屋
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最近是的把漢字 排列好詠七言詩
閑叔屋里我一人 自吹自擂満悦喜
         白文題

       無題

棲于大海人佩蹼   人が海に適くなら水掻きが有ろう
能上青天具背翅   青空に上る事が出来るなら羽根が有ろう
虚眺遊鵬泳鰲鯤   人は羽根も水掻きも無い
何帯鋒爪獠狼牙   まして、するどい爪も牙も
  ・・・・!          ・・・・!
許装光身是伝統   でも!人々が伝える伝統をその身に纏う
如今故郷息麗衣   故郷に息づく美しい装いを

     三日月を看てビールに酔いて詠みし詩一首

   去陽来陽客舎窓   陽は去り陽は来たる客舎の窓
   往客遇客非故人   往く客遇う客故人に非ずして
   何故到此問自意   何故此処に来たるか我が意いを問うに
   無答孤酔月芽昇   答え無く孤り酔へば三日月の昇る